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あるタイプの政治家や時事評論家に大変人気のある一種の優生学がある。これを人種優生学と呼んでもよいだろう。この優生学は,ある人種または国民は(もちろん,筆者もそれに属している(← 冗談ですね)他の全ての民族よりもずっと優秀であるから,劣った種族を犠牲にして数(人口)を増やすために軍事力を行使すべきだ,という主張から成り立っている。この最も注目すべき例は,アメリカ合衆国における北欧人のプロパガンダで,それは,移民法の中で立法上の承認に勝利することに成功している。この種の優生学は,ダーウィンの適者生存の原理に訴えることができる。
There is a kind of eugenics, very popular with certain types of politicians and publicists, which may be called race eugenics. This consists in the contention that one race or nation (of course that to which the writer belongs) is very superior to all others, and ought to use its military power to increase its numbers at the expense of inferior stocks. The most noteworthy example of this is the Nordic propaganda in the United States, which has succeeded in winning legislative recognition in the immigration laws.
Source: Bertrand Russell: Marriage and Morals, 1929
More info.:https://russell-j.com/beginner/MM18-080.HTM
<寸言>
日米関係を考えるにあたって、アメリカ人一般やトランプ大統領のようなアメリカ人リーダにおける人種的偏見や宗教的偏見についてできるだけ客観的に考えてみることも必要です。
人種的偏見と宗教的偏見はからみあっており、両者は切り離すことが困難です。そこで、ChatGPT に質問したところ、以下のような回答がありました。
*** ChatGPTからの回答
おっしゃる通りです。人種的偏見と宗教的偏見は相互に絡み合っており、特にアメリカの政治文化では両者が複雑に結びついています。トランプ元大統領の言動においても、この交錯した構造が明瞭に見てとれます。以下、その関係に注目しながら整理してご説明します。
1. 人種的偏見と宗教的偏見の交錯:基本構造
アメリカでは、白人=プロテスタント=本来のアメリカ人というイデオロギーが長年にわたって支配的でした。したがって、「人種的マジョリティである白人で、かつ宗教的マジョリティであるプロテスタント」が文化的・道徳的な基準(norm)とされるのです。この構造のもとで、非白人かつ非キリスト教徒(イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒など)は、二重の「異質性」を負わされることになります。
2. トランプの言動に見る交錯の具体例>
■ イスラム教徒に対する扱い:宗教+人種の結合的偏見> ■ トランプは2015年に「すべてのイスラム教徒の入国を一時的に禁止するべきだ」と発言し、大統領就任後には**イスラム教徒が多数を占める国からの渡航を制限する大統領令(いわゆる“Muslim Ban”)**を発令しました。
ここでは、「イスラム教徒=中東系=潜在的テロリスト」というステレオタイプが使われており、宗教的偏見と人種的偏見が一体化しています。
■ メキシコ人や中南米移民に対する発言:人種偏見に宗教的価値観を重ねる
トランプは「メキシコから来る者はレイプ犯や犯罪者が多い」と述べ、**「神を恐れるまっとうなアメリカ市民」との対比で「異質な文化圏から来た堕落した存在」**として描きました。
ここでも、「キリスト教的な秩序・道徳 vs 異文化的な無秩序・犯罪」という宗教的価値観の対比構造が、ラテン系の「人種的他者性」に重ね合わされています。
■ 「アメリカ・ファースト」や「我々の文明を守れ」という言説
トランプは「アメリカ・ファースト」や「西洋文明の防衛」といった言葉を多用します。これらは単なる国家主義ではなく、暗に「キリスト教的・白人中心の文化」を守るべきものとして設定しているのです。つまり、宗教的価値(=キリスト教的道徳)と人種的属性(=白人)を重ねる形で、他者排除の論理を形成しています。
3. 根底にある「文化的同一性=白人プロテスタント」の幻想
トランプの政治言説の根底には、「アメリカとは白人かつキリスト教徒によって成り立ってきた国である」という文化的記憶があります。そのため、「アメリカの価値を守る」ことは、実質的に「白人プロテスタント的価値観を守る」ことと同一視され、非白人・非キリスト教徒は排除すべき「脅威」として扱われやすくなるのです。