バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 政府が契約によって創造されたという説(注:社会契約説)は、もちろん進化論以前のものである。政府は、はしかや百日咳のように、徐々に成長したに違いない。ただし、それらの(病気の)ように、南洋諸島のような新しい地域に、突然導入されることもありうる。人類学を学ぶ以前の人々は、政府の始まりに関わる心理的メカニズムや、その後役に立つとわかった制度や習慣を人々が採用するようになる空想的な(奇妙な)理由については全く思いつかなかった。しかし、政府を正当化するための法的虚構としての社会契約説はある程度の真実を有している。

The theory that government was created by a contract is, of course, pre-evolutionary. Government, like measles and whooping cough, must have grown up gradually, though, like them, it could be introduced suddenly into new regions such as the South Sea Islands. Before men had studied anthropology they had no idea of the psychological mechanisms involved in the beginnings of government, or of the fantastic reasons which lead men to adopt institutions and customs that subsequently proved useful. But as a legal fiction, to justify government, the theory of the social contract has some measure of truth.
Source: A History of Western Philosophy, 1945, chapter XIII: Lock's Political Philosophy _ C: The social contract theory, p.611
More info.: https://russell-j.com/cool/HWP_1945.pdf

<寸言>
 独立宣言によるアメリカの建国のように、迷信や神話のお世話になっていないものもありますが、多くの地域において、最初の建国は神話や迷信にまみれています。
 王権神授説などは、国を支配する権限は天(神)から授けられたという理論ですので、人々が信じてくれれば、支配者にとっては一番都合がよいと言えます。支配権(統治権)は、武力によってではなく、神から与えられたというのであれば、それに反抗することは神に反抗することになります。
 即ち、支配者は悪い政治をやれば下野するのではなく、万世一系の天皇のようにただ存在するだけで価値があるということになれば、そういった「象徴的な存在」をかつぐだけで、実質的な権力を握ることができます。自民党が万世一系の天皇制や世襲議員を重視する理由(気持ち)がよくわかります。 

#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell