ラッセル英単語・熟語1500 |
不幸に対する合理的な備えは,恐怖心とはまったく異なるものである。それは,知恵の一部である。一方,恐怖心は全て卑屈なものである。恐怖心を感ぜずにはいられないときには,子供にそれを悟られないようにするのがいい。とりわけ,子供に,幅広い物の見方と,多彩な生き生きした関心を身につけさせてあげるのがよい。そういうものは,子供が大きくなってから,自分は不幸になりはしないかとくよくよ思いわずらうことがないようにしてくれるだろう。そのようにして初めて,あなたはわが子を自由な世界人とすることができるのである。
Rational provision against misfortune is a totally different thing from fear ; it is a part of wisdom, whereas all fear is slavish. If you can not avoid feeling fears, try to prevent your child from suspecting them. Above all, give him that wide outlook and that multiplicity of vivid interests that will prevent him, in later life, from brooding upon possibilities of personal misfortune. Only so can you make him a free citizen of the universe.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926
More info.: https://russell-j.com/beginner/OE04-160.HTM
<寸言>
ウクライナへのロシア軍の侵略を受けて、また安倍元総理が元気を取り戻し、防衛費倍増、憲法改正等についていろいろ発言しているようです。27回にもおよぶプーチンとの差しでの交渉についての反省はまったくないようです。
国民の多くが恐怖心を持つようになれば、政治家はそれをうまく利用することによって、非常時における指導者になることができます。そういった状況においては論理的思考能力はあまり必要とされません。
関連するラッセルの発言(n.1429j (Sept. 29, 2020)を再引用しておきます。
恐怖心は人々に指導者を待望させ、成功した将軍(凱旋将軍)は恐怖心の反対である情熱的な賛美を引きおこす。勝利は、当座は真の重要性をもった唯一のものと思われるので、凱旋将軍は容易に自国(の人々)を説きつけて、彼に最高の権限(統帥権)を託させる。危機が続くかぎり、彼は欠くべからざる人物と判断され、危機が去ったときにやめさせよう思った時にやめさせることはとても困難になっているかも知れない(可能性がある)。
Fear makes men wish for a leader, and a successful general rouses the passionate admiration which is the obverse of fear. Since victory seems, at the moment, the one thing of real importance, the successful general easily persuades his country to entrust him with supreme power. So long as the crisis continues, he is judged indispensable, and when it is over he may have become very difficult to remove.
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell