バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 家柄崇拝は、それが誤った価値基準や社会的不平等の容認に結びつく時、重大な悪となる。父親の七光りで特別扱いされる人間は、有益な努力をしようとする正常な動機を失なってしまう。そのような人間は名家に偶然生れたという事実に不当な重要性を与える人生観を身につけがちであり、また、自分が存在するだけで周囲の尊敬を受ける資格があると考えがちである。自分は他の人間よりもかなり優れていると信じるがゆえに、逆に彼らよりずっと劣ることになる。本人に固有な長所にもとづかない差別待遇は全て、人間性に悪影響を与えるために、他に理由がなくてこの理由一つだけしかないとしても、廃止すべきものである。

Snobbery becomes a serious evil when it leads to false standards of value and to tolerance of social inequality. The man who is respected merely for being the son of his father loses one of the normal incentives to useful effort. He is likely to develop views of life which attach undue importance to the accident of birth and to think that by merely existing he does enough to command respect. He believes himself rather better than other men and therefore becomes rather worse. All distinctions not based upon intrinsic merit have this bad effect upon character and on this ground, if on no other, deserve to be abolished.
Source: Mortals and Others, v.1, 1975
 More info.: https://russell-j.com/SNOB.HTM

<寸言>
 多くの人が、現代日本においては「家柄崇拝」はほとんどなくなっていると思っているのではないでしょうか? 小規模ですが、日本にも「上流階級」らしきものがまだ残っています(あるいは、新しく形成されています)。
 家柄というのは、以前は、家系図が何百年も辿れる名家の生まれという意味合いが大きかったでしょうが、現代においては、もう少し範囲を広くとって考えたほうがよさそうです。代々医者の家系とか、代々大地主とか、代々政治家とかいうように、各分野において「家業」を引き継いできている家系の出身といった意味合いです。
 政治の世界は、誰でも立候補できるにもかかわらず、地盤をひきつぐ二世、三世の世襲議員がとても多いのはどうしてでしょうか? 家柄ではなく、人物本位で選ぶと口では言っても、「政治的な力」がありそうだ(地元に利益を誘導してくれそうだ)ということで選んでしまっていることはないでしょうか? 何れにせよ、小選挙区制では、地元の選挙区で選ばれさえすれば、国民全体の支持がなくても、選ばれてしまい、「錬金術」などによって、総理大臣になってしまうこともあります。「親の七光り」の世襲議員を駆逐するには「地元への利益誘導を期待する心」をまず駆逐する必要がありそうです。

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