バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

  シンプソン(Sir James Young Simpson,1811-1870:スコットランドの産科医)は,1847年,麻酔を出産に用いることを勧めたが,牧師達は神がイブに言ったこと,即ち,「汝は苦しみて子を産まん」を思い出した(『創世記』第3章第16項)。しかし、クロロフォルムの影響下において,イブはいかにして苦しむことが出来たであろうか? 神は(イブを誕生させるために)アダムの肋骨を抜く時に彼を深い眠りに陥れたという理由で,シンプソンは男性については麻酔を用いても害がないことを証明することに成功した。だが,男性の聖職者達は,女性の苦しみに関しては,少なくともそれが出産の際のものである時には,依然納得しないままであった。

Simpson, in 1847, recommended their use (use of anesthesia) in childbirth, and was immediately reminded by the clergy that God said to Eve ; "In sorrow shalt thou bring forth children" (Gen. hi. 16). And how could she sorrow if she was under the influence of chloroform? Simpson succeeded in proving that there was no harm in giving anaesthetics to men, because God put Adam into a deep sleep when He extracted his rib. But male ecclesiastics remained unconvinced as regards the sufferings of women, at any rate in childbirth.
 Source: Religion and Science, 1935, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-190.HTM

<寸言>
 この直後にラッセルは次のように書いています。

 「創世紀の権威が認められていない日本においては,いかなる人工的な軽減措置もなされずに,女性は依然として陣痛の苦しみに堪えることが期待されていることに注目してよいかも知れない」
 (注:注:荒地出版社刊の津田訳では、「endure the pains of labour」を津田氏は「労働の苦しみ」と訳出していますが、陣痛のことを「labour pain」と言うことから,「陣痛の苦しみ」と訳すべきですね。)

 日本では麻酔を使った無痛分娩や帝王切開による出産は少ないですが、少し調べてみたところ、日本と外国との違いは驚きです。欧米では麻酔を使った無痛分娩が一般的に行われており、全体の7割以上になるとのことです。帝王切開による出産もアメリカでは約30%とのことで、「目から鱗」です。
https://www.stemcell.co.jp/column/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%87%BA%E7%94%A3%E4%BA%8B%E6%83%85%E3%80%80%E7%84%A1%E7%97%9B%E5%88%86%E5%A8%A9%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%E3%81%AF%EF%BC%9F-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%84%A1%E7%97%9B/

 なお、ラッセルは知らなかったでしょうが、華岡青洲(はなおか せいしゅう, 1760-1835)は,1804年に,世界で初めて全身麻酔を用いた手術(乳癌手術)に成功しています。

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