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政府の観点からみた場合の,民主主義の長所の一つは,民主主義は政府が一般市民を騙し易くしてくれることである。その理由は,一般市民は民主主義的な政府を「自分(達)の」政府と考えるからである。迅速に良い結果が出ない戦争に対する反対は,いかなる政治体制下においてよりも民主主義体制下においては生じるのがずっと遅い。民主主義国においては大多数の人々が政府に背を向けるのは自分達の選んだ指導者を今までよく思ってきたのは間違っていたということを自認した時のみであり,そのようなことは困難なことであり不愉快なことである。 。
One of the advantages of democracy, from the governmental point of view, is that it makes the average citizen easier to deceive, since he regards the government as his government. Opposition to a war which is not swiftly successful arises much less readily in a democracy than under any other form of constitution. In a democracy, a majority can only turn against the government by first admitting to themselves that they were mistaken in formerly thinking well of their chosen leaders, which is difficult and unpleasant.
Source: Power, a new social analysis, 1938, by Bertrand Russell
More info.:https://russell-j.com/beginner/POWER09_090.HTM
<寸言>
選挙の時だけ民主主義的にふるまうが、それ以外は「国民に付託を受けたことを実行しなければならない」と非民主的にことを進める民主主義国における非民主的な政府(政権)。
政府に不満を思っても選挙が近づくと政府(政権)は民主主義的に振る舞い、国民はまた騙される。
しかし、そういった政府だけが悪いわけではない。国民は「自分たちにふさわしい」政権を選んでいるとも言える。
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