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もちろん,破壊はしばしば,その後にくる建設のための準備として必要である。その場合においては,破壊は建設に関することの全体の一部である。しかし,人間は,少なからず,その後に続くべき建設を何ら顧慮しないで,破壊を目的とする活動に従事することがある。しばしば彼は,自分は新たに建設するために古いものを一掃しているだけだと信じる(信じこもうとする)ことによって,このこと(破壊だけが目的であること)を自分に隠そうとする。それが'口実の場合には,破壊の後に続く建設とは何であるか尋ねることによって,通例,その口実の仮面をはぎ取ることができる。。
Destruction is of course necessary very often as a preliminary to subsequent construction; in that case it is part of a whole which is constructive. But not infrequently a man will engage in activities of which the purpose is destructive without regard to any construction that may come after. Frequently he will conceal this from himself by the belief that he is only sweeping away in order to build afresh, but it is generally possible to unmask this pretence, when it is a pretence, by asking him what the subsequent construction is to be.
Source: The Conquest of Happiness, 1930
More info.: https://russell-j.com/beginner/HA25-040.HTM
<寸言>
「何か新しいものを創り出すこと」は全て有意義であるわけではない。ベルリンの壁、国境の間の高い壁、富裕層だけが住む城壁都市、「効率的に」敵を殺害できる科学兵器や化学兵器等々。
しかし、人類にとって役に立つ新しいものを創造することには非常に大きな価値がある。多くの場合、そういった画期的なものをつくるためには古いものを打破しないといけないが、憎しみや嫌悪感が旺盛で後先を考えずに、「まず壊すことが先だ!」と叫んで、政治的な権力を握ろうとする者がいる。また、残念ながら、それに同調する国民も少ないとは言えない。
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