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幼児は,目の焦点を合わせられるようになるやいなや,動くもの,特に、風の中でゆらゆらするものを見て喜ぶ。しかし,目に見えるものをつかむことを学習するまでは,赤ん坊に可能な楽しみの数は多くない。その後は(物をつかむことを学習すれば),楽しみの数がどんどん増えていく。当分の間,ものをつかむ練習だけで,目をさましている多くの時間,幸福が十分確保される。ガラガラを喜ぶのもこの時期である。これより少し前に,手足の指が自由に動かせるようになる。初めのうち,足の指の動きはまったく反射的であるが,やがて赤ん坊は,足の指を自分の意志で動かせることを発見する。これは,外国を征服した帝国主義者の喜びをすべて与えてくれる。足の指は,もはや他人の体ではなく,自我の中に組み込まれるようになる。
As soon as the child can focus, it finds pleasure in watching moving objects, especial1y things that wave in the wind. But the number of possible amusements is small, until the child has learned to grasp objects that it sees. Then, immediately, there is an enormous accession of pleasure. For some time, the exercise of grasping is enough to secure the happiness of many waking hours. Pleasure in a rattle also comes at this stage. Slightly earlier is the conquest of the toes and fingers. At first, the movement of the toes is purely reflex ; then the baby discovers that they can be moved at will. This gives all the pleasure of an imperialist conquering a foreign country.: the toes cease to be alien bodies and become incorporated in the ego.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926, by Bertrand Russell
More info.: https://russell-j.com/beginner/OE03-060.HTM
<寸言>
「つかむことが好き」な子供 は → 長じて、「賄賂を受け取るのが好きになる」ということはもちろんない。幼児はもっと素朴で純粋。そういった子供がどうしてあんな嘘つきの政治家になってしまったのだろうか?なんて思うのはわずかで、生まれつきあるいは幼児の時から性根がまがっていたと考えがち。
もちろん、少なくとも赤ん坊はそんなことはない。あなた(親)のせい、というほうが多い。
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