バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

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 知的自由への脅威は、今日、1660年以降のいかなる時代よりも大きい(訳注:イングランドでは1660年に王政復古があった)。しかし、その脅威は、今日では、キリスト教教会からはきていない。それは,政府からきており、現代の無政府状態及び混乱の危機のせいで、以前キリスト教会の権威に属していた神聖にして犯すべからざる性格を政府が受け継いでいる。古い形態のものの減衰に満足気に(complacently)喜ぶよりも、迫害の新しい形態に抵抗することこそ、科学者や科学的知織を尊ぶ全ての者の明確な義務である。

The threat to intellectual freedom is greater in our day than at any time since 1660 ; but it does not now come from the Christian Churches. It comes from governments, which, owing to the modern danger of anarchy and chaos, have succeeded to the sacrosanct character formerly belonging to the ecclesiastical authorities. It is the clear duty of men of science, and of all who value scientific knowledge, to protest against the new forms of persecution rather than to congratulate themselves complacently upon the decay of the older forms.
Source: Religion and Science, 1935, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_10-050.HTM

<寸言>
 この発言は、もちろん、第二次世界大戦へと向かう1935年時点における世界の状況について言っています。しかしこれは、迫害とはすぐには気づかない「新しい」迫害(科学技術を活用した衆人監視・国民監視ほか)についても見過ごしてはいけない、という警告でもあります。
 昔の知的自由の侵害は露骨でしたが、現代における知的自由の侵害はずっと巧妙であり、オーウェルが言ったように、自己規制によって政府が具体的な措置をとらなくてもよい状態になるのが、相互監視社会の完成形だとも言えるかも知れません。

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