もし仮に、通常の原因によって生ずるのと同様の大脳の状態が、何か異常な原因によって生ずるならば、我々はいつものように物理的対象とつながりを持っていない視覚を持つことがありうる。もちろん、こういったたぐいのものは、特に視覚に限られるものではない。(たとえば)脚がすでに切断されているのに足の親指に痛みをを感じるというよく知られた実例によっても例証される。そういった(いろいろな)論拠から明らかになることは、我々が直接経験することは物理学が扱う外的対象ではありえないということであり、しかも,我々が直接に経験することのみが物理学の世界の存在を我々が信ずる根拠だということである。
If the same state of brain can be produced by other than the usual causes, you may have a visual sensation not connected in the usual way with a physical object. This sort of thing is not specially concerned with the sense of sight. It is illustrated by the familiar example of the man who feels pain in his great toe although his leg has been amputated. Such arguments make it clear that what we directly experience cannot be the external object with which physics deals, and yet it is only what we directly experience that gives us reason to believe in the world of physics.
Source: My Philosophical Development, Chapter 9 The External World
More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_09-030.HTM
<寸言>
人間の知識の限界。
科学技術は直接的な成果を目に見える形で我々に提示するので、科学について疑うことを我々はしない。しかし、実際には、そこには原理的な大きな問題が存在している。