バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 第一級の名声を勝ちうるのは,オールラウンドの教育や幅広い興味によってではない。即ち,それには,精神力の集中と感情と知性の両面におけるある程度の狭量さ(目標の限定など)が必要である。すべての若者が同じ環境にあり,同一の基準を受けいれなければならない世界においては,このような条件は容易に起こらない。傑出した人物を生み出すには多様性が必要であり,画一的な教育は,平凡な大人を生むだす傾向がある。従って今後は,昔と違い,個人的名声を得ることはより稀なものになるだろう。

It is not by an all-round education or by catholicity of interests that first-rate eminence is achieved: it is achieved by concentration and a certain narrowness both emotional and intellectual. In a world where all young people have the same environment, and the same standards presented for their acceptance, this does not easily happen. Diversity is necessary to distinction, and uniformity in education tends to produce mediocrity in adult life. We must therefore expect that individual eminence will be rarer in the future than it has been in the past.
 Source: "FATHER" [From: Mortals and Others: Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1 (1975)]
 More info.: https://russell-j.com/FATHER.HTM

<寸言>
 権力者(為政者)も企業経営者も、もちろん、国民や社員が優秀であることを望む。しかし、それが一定の人数確保されるのであれば、権力者や経営者に従順な、いわば兵隊さんになってくれる大量の国民や社員が必要である。だから、英才教育の対象者に対しては別格の教育と自由を与えるが、それ以外の多くの、兵隊とも言うべき人たちは、社会性を身に着け、上の者に対して従順であることを好む。従って、政府も口では個性の尊重を言っても、かならず集団や組織や上の者に従順な人間の養成に資する事柄を教育に忍び込ませる。