バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 『数学の諸原理』(1903年出版)を終えると、私は、これらのパラドクス(ラッセルのパラドクス)の解決策を見つけ出す断固とした試みに腰を落ち着けて取り組んだ(settle down)。私はこれをほとんど私(一人)に対する挑戦であり、必要とあれば、それに答える仕事に私の残りの生涯の全てを費やしてもよいだろう、と感じた。しかし、この仕事は二つの理由によりきわめて不愉快なものであることに私は気づいた。第一に、その問題全体がつまらないものであるという印象を私に与え(struck me as)、本質的に興味をひくとは思われないことに注意を集中しなければならないのは嫌であった。第二に、取り組んだが、前進(進歩)がまったくなかった(ことである)。

When The Principles of Mathematics was finished, I settled down to a resolute attempt to find a solution of the paradoxes. I felt this as almost a personal challenge and I would, if necessary, have spent the whole of the rest of my life in an attempt to meet it. But for two reasons I found this exceedingly disagreeable. In the first place, the whole problem struck me as trivial and I hated having to concentrate attention upon something that did not seem intrinsically interesting. In the second place, try as I would, I could make no progress.
 Source: My Philosophical Development, chap. 7:1959.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_07-040.HTM

<寸言>
 大変重要な仕事だとしても面白くない仕事の場合は短期間であれば我慢できる。しかし、何年、あるいは十年以上の年月を要することで、しかも成功するかどうかわからない仕事(研究)の場合は、「自分はいったい何をやっているんだろう」「どれだけ意味のあることをやってるのか」という焦燥感が襲ってくる。だが、自分の力で解決できる可能性がある場合には、それから逃げることは卑怯あるいは意気地なしに思えてしまう。