私はこのことについて、フレーゲ(Friedrich Ludwig Gottlob Frege, 1848- 1925:ドイツの論理学者、数学者で、数理論理学の祖)に手紙を書いた。彼の返事には、算術がよろめき始めており、また、自分の(『算術の基本法則』の)第五法則は間違っていることがわかった、と書かれていた。フレーゲはこの矛盾によって、非常に落胆させられ、算術を論理学から演繹する企て -それまで自分の生涯の主な目標としていたもの- を断念した。
I wrote to Frege about it (= Russell's paradox), who replied that arithmetic was tottering and that he saw that his Law V was false. Frege was so disturbed by this contradiction that he gave up the attempt to deduce arithmetic from logic, to which, until then, his life had been mainly devoted.
Source: My Philosophical Development, chap. 7:1959.
More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_07-040.HTM
<寸言>
長年やってきたことが「無駄だった」ことがわかるということは何という悲劇であろうか。大抵の場合は無駄ではないこともいろいろあることがわかるものであるが・・・。