『バートランド・ラッセル-反核の論理学者』(学芸みらい社刊)p.64で言及されているラッセルの言葉です。
「アーサー・バルフォア(注:1902年から1905年まで首相;第一次世界大戦中は海軍大臣や外務大臣を歴任)の介入のおかげで私は刑務所の第一部門に位置づけられ,そのために,刑務所内では平和主義者としての宣伝を行なわないという条件で,好きなだけ自由に読んだり書いたりすることを許された。
刑務所は多くの面で非常に快適であることがわかった。用事は何もなく,決定をしなければならない難しい問題もなく,来客の心配もなく,また,仕事をじゃまされることもなかった。私は大量の本を読んだ。また,『数学の原理』の半ば一般向きの本である『数理哲学入門』を書き上げ,また,『精神の分析』の執筆にとりかかった。」
By the intervention of Arthur Balfour, I was placed in the first division, so that while in prison I was able to read and write as much as I liked, provided I did no pacifist propaganda. I found prison in many ways quite agreeable. I had no engagements, no difficult decisions to make, no fear of callers, no interruptions to my work. I read enormously; I wrote a book, Introduction to Mathematical Philosophy, a semi-popular version of The Principles of Mathematics, and began the work for Analysis of Mind.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2, 1968, chapt.1: The First World War.
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB21-270.HTM
<寸言>
ラッセルは、第一次世界大戦中、反戦運動の廉で禁固六ヶ月の判決を受け、ロンドンのランベス地区にあるブリクストン刑務所に約5ケ月間(1918年5月~9月)入れられた。獄中で An Introduction to Mathematical Philosophy を執筆、完成しているが、こういった本は、資料を調査することなく、紙と鉛筆(万年筆?)だけで執筆できるので、選ばれたのではないだろうか?