敵に対する義務というのは難しい概念である。情け深いこと(clemency)は,古代においては,一つの徳(美徳)として認められていた。しかし,それは,つまり,それによって(敵が)味方になるという場合だけであった(限られていた)。そうでない場合は,情け深いことは,(人間としての)弱さだとして非難された。・・・(たとえば)ローマ人は,ハンニバル(将軍)やスパルタクスに従った人々に対してはまったく雅量(大きな度量)を示さなかった。
Duty to enemies is a difficult conception. Clemency was recognized as a virtue in antiquity, but only when it was successful, that is to say, when it turned enemies into friends ; otherwise, it was condemned as a weakness. When fear had been aroused, no one expected magnanimity : the Romans showed none towards Hannibal or the followers of Spartacus.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER15_150.HTM
<寸言>
敵に対する狭量さ及び味方でない人たちに対する無関心さは,古今東西の権力者共通の特徴。