バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 確かに,キリスト教は,理論の上では,姦通を神に対する罪であるという理由で,両性どちらの場合にも等しく罪深いと考えている。・・・既婚婦人との姦通は邪悪であるとされたが,それはその婦人の夫に対する攻撃だからであった。しかし,女性の奴隷と戦争捕虜は彼らの支配者(ご主人様)の合法的な財産であり,それらの女性と性交することに対しては非難されることはまったくなかった。このような見解は,信心深いキリスト教徒の奴隷所有者によって抱かれており,-ただし、彼らの妻はそのような見解を抱いてはいなかった- 19世紀のアメリカにおいてさえ、抱かれてきたのである。

Christianity, it is true, holds, in theory, that adultery is equally sinful in either sex, since it is a sin against God. ... Adultery with a married woman was wicked, because it was an offence against her husband; but female slaves and war-captives were the legitimate property of their master, and no blame attached to intercourse with them. This view was held by pious Christian slave-owners, though not by their wives, even in nineteenth-century America.
 情報源: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER15_040.HTM

 <寸言>
 宗教もその社会の支配的な考え方に対して「理解」を示したり、「容認」したりしないと普及しない。支配的な「迷信」に対しても「寛容」でないと広がらない。