軍事力の欠如のみが、一つの国家が他の国家に及ぼす権力を制限する。十分な優位性が与えられれば,全住民の根絶(殺害)や除去(強制排除)というようなことさえ,(法令として)布告されるかもしれないし,事実またしばしば布告されてきた。たとえば,(旧約聖書の)ヨシュア記(注:ユダヤ教においては「預言書」,キリスト教においては「歴史書」/ヨシュアの指導の下、イスラエル人がカナンに住む諸民族を武力で制圧し、約束の地を征服していく歴史が記述されている。),バビロン捕囚,それから、北米インディアンをみな殺しにしない場合に(特別)保留地に監禁(強制収容)したこと、を考えてみるとよい。
Nothing but lack of military force limits the power of one State over another; given sufficient preponderance, even extermination or removal of the whole population may be decreed, and often has been. Consider, for example, the Book of Joshua, the Babylonian captivity, and the confinement of North American Indians to reservations when not exterminated.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER12_030.HTM
<寸言>
大きな国家に征服あるいは吸収されてしまった弱小国家や民族は、進んでそうなった国はほとんどいない。ロシアや中国のような共産主義国だけでなく、アメリカ(インディアンの征服)、日本(アイヌ民族や琉球国の征服や併合)の場合も同様である。 しかし、他国における武力制圧は非難したり好ましくないと思うが、自国の同様の行いには歓迎したり、知ろうとしなかったりする。