権力との関係において,キリスト教教義のなかで最も重要なものは,「人は人に従うよりもむしろ神に従うべきである」という言葉であった。・・・。異教徒たち(非キリスト教徒たち)は,ローマ皇帝の王権神授説の主張はまったく形而上学的な真理に欠けていると見なした時でさえ,皇帝崇拝(礼賛)に進んで黙従した。これに反して,キリスト教徒にとって,形而上学的な真理は最高に重要なものであった。もし自分たちが唯一の真実な神以外のものに礼拝を捧げたならば,それは天罰の危険を招くものだというふうに,彼ら信じていたのであり,地獄に落ちるくらいならばむしろ殉教するほうがより罪が軽いと信じていた。
In relation to power, the most important of Christian doctrines was: "We ought to obey God rather than man." ... Pagans were willing to acquiesce in the cult of the Emperor, even when they regarded his claim to divinity as wholly devoid of metaphysical truth. To the Christians, on the contrary, metaphysical truth was of the utmost moment: they believed that if they performed an act of worship to any but the one true God they incurred the risk of damnation, to which martyrdom was preferable as the lesser evil.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER07_030.HTM
<寸言>
いかなる宗教の信者であれ、狂信者は恐ろしい。他の宗教(=邪教)がどのようなひどい目にあっても「天罰」だと思ってしまう。