ノルマン人によるイングランド征服は，イングランドに（一つの）王家を生みだしたが，後に，王位に対する神権を持っていると考えられた（考えられるようになった）。軍事的征服は征服の後に心理的征服を伴って初めて安定を得るが，これが起こった事例は非常に多い。
The Norman Conquest produced, in England, a royal family which, after a time, was thought to possess a Divine Right to the throne. Military conquest is stable only when it is followed by psychological conquest, but the cases in which this has occurred are very numerous.
情報源: Power, 1938.
詳細情報：https://russell-j.com/beginner/POWER06_020.HTM
＜寸言＞
最初は武力で民衆を支配下に置くようになった権力者も、時代がたつにつれて、自分の（あるいは自分たちの）権力は神から授けられたものだと言い出す例が世界中にある（例：王権神授説や「日本は神国」幻想）。武力で圧倒的になれば体制を転覆させようという気が起こらなくなり、国家転覆など考えられなくなる。そうして、支配者は民衆からとりたてた税を使って優雅な生活をおくるようになり、「神から権力を授かった」最初から自分たちは温和かつ教養深かったかのごとく「歴史を粉飾」する。