バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 しかし,法が罰(刑罰)を用いるのは,望ましくない行為を物理的に不可能にするためだけでなく,誘導する物としても罰を用いる。たとえば,罰金は行為を不可能にはせずに,ただ,その行為をあまり魅力のないものにするだけである。さらに,これはもっとずっと重要なことであるが,法は,一般民衆の感情によって支持されていない場合には,ほとんど無力である。それは,禁酒法施行下のアメリカ合衆国や,1880年代のアイルランド月光党員がアイルランド住民の大多数の共感を得た時の例を見れば,わかるであろう。それゆえ,法が有効な力となるかどうかは,警察権力よりも,世論や(民衆の)感情によりいっそう依存する。

But the Law uses punishment, not only for the purpose of making undesired actions physically impossible, but also as an inducement; a fine, for example, does not make an action impossible, but only unattractive. Moreover --and this is a much more important matter-- the Law is almost powerless when it is not supported by public sentiment, as might be seen in the United States during prohibition, or in Ireland in the '80's, when moonlighters had the sympathy of a majority of the population. Law, therefore, as an effective force, depends upon opinion and sentiment even more than upon the powers of the police.
 情報源: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER03_050.HTM

 <寸言>
 「罰金は行為を不可能にはせずに,ただ,その行為をあまり魅力のないものにするだけ」なので、犯罪を起こしたものが金持ちの場合、一般市民よりも罰金を高くしないと、法を犯すことは平気になってしまう。従って、保釈金は貧乏人よりも高くなる。罰金の金額は平等であるべきと言う人はそのことを理解していない。