芸術家が必要とする性的な自由は,愛する(恋愛する)自由であり,見知らぬ女と(で)肉体的要求を満たすような粗野な自由ではない。また(しかも),愛する自由は,とりわけ,因習的な道徳家が認めようとしないものである。世界がアメリカナイズされた後に芸術を復興させたければ,アメリカが変わり,アメリカの道徳家(モラリスト)がもっと道徳的でなくなり,非道徳家(モラルに問題がある人々)がもっと非道徳的でなくなることが,要するに,両者ともに,性に含まれるより高い価値を認め,また,喜びは銀行口座よりも価値を持ちうる可能性を認める必要がある。
The sexual freedom that the artist needs is freedom to love, not the gross freedom to relieve the bodily need with some unknown woman ; and freedom to love is what, above all, the conventional moralists will not concede. If art is to revive after the world has been Americanized, it will be necessary that America should change, that its moralists should become less moral and its immoralists less immoral, that both, in a word, should recognize the higher values involved in sex, and the possibility that joy may be of more value than a bank-account.
情報源: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM20-080.HTM
<寸言>
例外はあるにしても,大部分の芸術家にとっては「恋愛における性的自由の欲求」はそうであるであろう。
芸術家の定義にもよるが、古今東西偉大だと言われてきた芸術家はお金のために芸術をまげるようなことはしないであろう。