バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 原始的な状態においては,鳥類や類人猿に見られるように,経済的な理由から,また,子供とその母親を暴力から守るためにも,父親は必要であった。後者の機能(注:安全の確保)は,ずっと昔に,国家によって(父親から)引き継がれた。(現代では)父親が亡くなった子供は,父親が生きている子供よりも(何者かによって)殺される恐れが多いということはない。富裕階級においては,父親の経済的な役割・機能は,父親が生きている場合よりも,死んだ場合のほうが,いっそう効果的に果たされる。父親は,自分の暮らしのために財産の一部を使い果たす必要もなしに,子供に財産を残すことができるからである。

In a primitive state of affairs, the father was necessary, as he is among birds and anthropoid apes, for economic reasons, and also to protect the young and their mother from violence. The latter function was long ago taken over by the State. A child whose father is dead is no more likely to be murdered than one whose father is living. The economic function of the father can be performed, in the well-to-do classes, more efficiently if he is dead than if he is living, since he can leave his money to his children, without having to use up part of it on his own maintenance.
 情報源: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM13-090.HTM

 <寸言>
 莫大な財産を持っていても、莫大な借金を負うようになる可能性は「死ぬまで」ある。  しかし死んでしまえば、(浪費する能力がまだついていない)我が子に財産を残すことができる。ただし、子供はそういった財産を7「首尾よく」散財してしまうことも珍しくない。