仕事は,いつも人を外界との実り多い接触に導くことができるわけでは決してない。仕事がそのような接触に導くことがができるかどうかは,仕事にたずさわる精神にかかっている。もっぱら金銭だけが動機となっているような仕事には,この価値を持ち得ないのであって,ある種の献身 -人に対してであれ,物に対してであれ,あるいは,単なる夢に対してであれ- が具現化されているような仕事にだけがそのような価値を持つことができる。
Work is by no means always capable of bringing a man into fruitful contact with the outer world. Whether it does so or not depends upon the spirit in which it is undertaken. Work of which the motive is solely pecuniary cannot have this value, but only work which embodies some kind of devotion, whether to persons, to things, or merely to a vision.
情報源: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM09-090.HTM
<寸言>
しかし儲かる仕事についている人は「お金はいくらあってもじゃまにならない」「金があって初めてまともな生活ができる」「いつも金に困っているあんな人のような生活はしたくない」という思いにかられることが多く、時間も同様に貴重だということになかなか気が付かない。それなりに充実した仕事人生が送れた場合はよいが、そうでない場合は失った時間の貴重さに後悔することも少なくなさそうである。