その原理とは,正しい行為は,稀な偶然による場合を除いて,無知によって促進されたり,知識によってさまたげられたりすることは絶対にないというもの(原理)である。・・・。 これは,事実を隠蔽しようとする際の政府の活動の大部分にあてはまるのである たとえば,いずれの国の政府も,戦争における敗北に関する話題はいっさい差し止めたいと願っている。というのは,戦争における敗北が(国民)知れると,政府の崩壊をまねくかもしれないし,それは通例,国民の利益にはなっても,政府の利益にはならないからである。
That doctrine is that right conduct can never, except by some rare accident, be promoted by ignorance or hindered by knowledge. ... It covers a large part of Governmental activity in concealing facts-for example, the desire which every Government feels to prevent all mention of a defeat in war, for the knowledge of a defeat may lead to the downfall of the Government, which, though usually in the national interest, is, of course, not in the interest of the Government.
出典: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM08-010.HTM
<寸言> 政府にとって都合の悪い情報は国民に知らせず、マスコミをコントロールして政権運営を楽にさせることはいずれの時代の権力者もやること。政治家は国益を強調するが、「国家の利益(=政府にとっての利益)」と「国民の利益」が相違する場合がけっこうあることをよく念頭においておく必要がある。