バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 「知性」という言葉は,正確に言えば,すでに獲得された知識よりも,知識を獲得する知的能力をさしていることは,疑問の余地はない。しかし,この才能は,ピアニストや曲芸師の才能と同様,実習なしに獲得されるとは考えられない。もちろん,知性を鍛えないやり方で情報を伝達することは可能である。可能なだけではなく,容易であり,現にしばしば行なわれている。しかし,情報を伝えずに,あるいは少なくとも知識を獲得させようとしないで,知性を鍛えることはできない,と私は信じている。

No doubt the word 'intelligence' properly signifies rather an aptitude for acquiring knowledge than knowledge already acquired; but I do not think this aptitude is acquired except by exercise, any more than the aptitude of a pianist or an acrobat. It is, of course, possible to impart information in ways that do not train intelligence; it is not only possible, but easy, and frequently done. But I do not believe that it is possible to train intelligence without imparting information, or at any rate causing knowledge to be acquired.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE02-180.HTM

 <寸言>
 「知識人」というのは,単に知識をいっぱい持っている人を指すわけではない。知識をいっぱいもっていても「知性」を感ずることができない人は少なくない。百科辞典的な知識を多くもっている人よりも,発想力・理解力にすぐれ,難しい物事をわかりやすく他人に説明できる人こそ「知性」があると言える。それにしても,「知性」や「智恵」のある「知識人」は少なくなり,似非知識人が増えつつあるように思われるが気のせいだろうか。過去の偉大な人間に学ぶよりも,まず自分の考えを主張したがる人間が増えてきている。たとえばブログの流行は,「読む人よりも書く人の方が多い」現実?を例証していると言うひとがいるが,いかがであろうか。