バートランド・ラッセルの言葉366_画像版

n.0028j (Nov. 28, 2016)

   
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バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
 
 この2番目の公開演説の最後で私は,労働党からの脱退を宣言し,党員証をひきさいた。驚いたことに,この行為は同じ壇上にいたもう二人のスピーカー -一人は国会議員で,もう一人はCND(核兵器撤廃運動)の委員長- をひどくいらだたせた。後者は,世間の注目をひくために私は勝手な演出(スタンド・プレー)を行ったと,新聞に述べた。もし私がそのような行為ができたのであれば,どうして私がそうしてはいけなかったのか,理解できない。

At the end of the second, I announced my resignation from the Party and tore up my Labour card. To my surprise, this intensely annoyed two of the other speakers on the platform, a Member of Parliament and the Chairman of the CND. The latter remarked to the press that I had stage-managed the affair. If I had been able to do so, I do not know why I should not have done so.
 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969,chap4: The Foundation,(1969)
 詳細(PCサイト):http://russell-j.com/beginner/AB34-160.HTM

 <寸言>
 どこの国の政党も,野党時代と政権をとった後の与党時代とでは、同じ政党かと疑うほどの「変節」あるいは「優柔不断な態度」をとることが少なくない。野党時代においては、「◯◯絶対反対」と言っていたのに、政権をとると「◯◯推進」と180度、主張を変えてしまうことも少なくない。そのように政策を変更した理由を国民がよく理解できるように説明すればまだしも、「情勢が大幅に変わったため」といった弁明だけでなんとかしのごうとするばかりで、国民もなんとなくそうかなあと思って、大目に見てしまう人も少なくない。そのような態度を示す政党や政治家は、今言っている甘い言葉(飴の政策)は,信用できないはずであるのに・・・。

 野党時代にはヴェトナム戦争反対を主張していた英国労働党。しかし政権をとるとトーン・ダウンし・・・。ラッセルはそういった労働党(ラッセルも長い間労働党員だった)の「背信行為(裏切り)」を許せず、CND(核兵器撤廃運動)主催の公開演説会の壇上で、労働党党員証を引き裂き、労働党を脱退してしまう。

 こういうことをすると必ず「売名行為」だという声があがる。「売名」を主な目的にしたものと、やむにやまれずにインパクトを与えるためにする行為とを、区別・判別できない人間は困ったものである。そういった批判や中傷をするだけで、いろいろな問題に対して、「安全地帯」から眺めて批評しているだけで、自らは何もしようとしない者は・・・。