バートランド・ラッセルの言葉366G_画像版

n.0023j (Nov. 23, 2016)

    
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  バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
 
 1950年末,ノーベル賞を受けとるためにストックフォルムに呼ばれた時, いくらか驚いたことに,文学賞であり,私の著書『結婚と性道徳』(Marriagwe and Morals, 1929)に対するものであったが,不安であった。(右欄写真出典:R. Clark's Bertrand Russell and His World, c.1981)なぜかというと,ちょうど300年前の冬,デカルト(Rene Descartes, 1596-1650.2.11)がクリスティナ女王に招かれてスカンジナヴィアヘ行って風邪をひいて死んだことを思い出したからである。・・・。晩餐会の席での私の話相手は,ジョリオ・キュリー夫人(Ire`ne Joliot-Curie,1897-1956.03.17:原子物理学者,夫とともに1935年にノーベル化学賞受賞(下写真左の女性)/女性で最初にノーベル賞をとったのは母親のマリー・キュリー)であり,彼女の話はとても興味深かった。

When I was called to Stockholm, at the end of 1950, to receive the Nobel Prize - somewhat to my surprise, for literature, for my book Marriage and Morals - I was apprehensive, since I remembered that, exactly three hundred years earlier, Descartes had been called to Scandinavia by Queen Christina in the winter time and had died of the cold. ... My dinner companion was Madame Joliot-Curie and I found her talk interesting.
 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 1: Return to England, 1969
 詳細(PCサイト):http://russell-j.com/beginner/AB31-230.HTM

ノーベル賞を授与すべきかどうかは、その人が革新的な発見をしたか、また、世界の人々の生活や考え方にどれだけ「大きな」かつ「良い」影響を与えたか、ということが大きな判断材料だとすれば、ラッセルのノーベル文学賞受賞理由の一番大きな理由は、(各国でベストセラーとなった)『結婚と性道徳』の執筆に対してであるといえなくもないと思われます。実際、新聞にはそのように書かれたかも知れません。それに比べ、『西洋哲学史』が世の中にどれだけの影響を与えたでしょうか?(私自身はすばらしい本だと思いますが。)  ラッセルの『結婚と性道徳』の影響はあきらかだと思います。ラッセルがこの本を出版したのは1929年のことですが、その頃はアメリカでもラッセルのような考え方は異端かつ過激であり、そのせいで1940年にニューヨーク市立大学教授就任の予定が(裁判でまけて)ふっとんだのは有名な話です。