三浦俊彦による書評

★ロバート・アーリック『トンデモ科学の見破りかた』(草思社)

* 出典:『読売新聞』2004年4月4日掲載

あるいは アマゾンで購入

 迷信やオカルトを叩く本ではない。「本当かもしれない」九つの学説を素材にした批判思考の指南書だ。トンデモ度五段階判定のための十箇条は日常生活にも役立つ。
 「ビッグバンは無かった」(トンデモ度三)「超光速粒子は存在する」(同ゼロ)といった純粋理論と、「銃普及は犯罪率を下げる」(三)「HIVはエイズの原因ではない」(三)といった、政治経済に関わる問題を混在させているのが面白い。
 統計の読み方、証拠の解釈法など、論述は慎重にして詳細。それだけに、わずかな疵が目立つ結果にもなった。「紫外線は人体に害より益が大きい」という説について、波長の分類に言及しないまま「トンデモ度ゼロ」と判定し、フロン禁止条約をナイーブに疑問視しているところなど、本書自体が「トンデモ度一~二」に値するか。むろん本書を批判的に読むための方法も、本書そのものから大いに学べるのだが。

楽天アフィリエイトの成果(ポイント)は本ホームページのメンテナンス費用にあてさせていただきます。
 ご協力よろしくお願いいたします