(p.7)
このくらいならば、まだまだ十分フォローすることができよう。現実にある心理小説の一ショットのようでもある。しかし、レインが『結ぼれ』の中で与えている作品例の形式は、もっとずっと複雑である。本当に無限に繰り返す(シネ・フィネ)ことを要求している、例えば前掲#2は……P→(O→(P→(O→(P→O・・・となるし、そこまでいかなくとも、いま「結ぼれ』から任意に抽り出した詩行の一部
#4 You are cruel
to make me feel bad to think
I am cruel to make you feel cruel
by my feeling bad that you can be so cruel as
to think
I don't love you, when you know I do (p.12)
は
P→(O→(P→(P→(O→(O→(P→(O→(P→O))))))))
#5 Jack does not know he does not know
that Jill does not know she does not know
that Jack does not know
that Jill thinks Jack knows
what Jack thinks he does not know (p.59)
は
P→(P→(O→(O→(P→(O→(P→(P→P))))))))
と記号化されることになるが(私が間違っていなければ。絶対の自信があるわけではない)、このくらいになってくると、#2は全ての→が「傷つく」、#5は「知っている(いない)」でほぼ統一されているとはいえ、そこで本当に何が起こっているかを掴むのはもはや容易なわざではない。(次ページに続く)
|