< 三浦俊彦による書評:加治将一『アントニオ猪木の謎』(三浦俊彦の時空)
      

三浦俊彦による書評

★ 加治将一『アントニオ猪木の謎』(新潮社)

* 出典:『読売新聞』2003年11月9日掲載


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 著者は『アントニオ猪木自伝』を企画したプロデューサー。自分の知る事実と自伝との間にどうもズレがある、との違和感から本書の執筆が始まったという。そして……面白すぎる!
 カネに女に政界に裏世界に、ほんとかよ、ここまで書いていいのと驚くエピソードが次から次。何度も信頼を裏切られ友情をコケにされた恨みつらみも遠慮なく。プロレスや格闘技には関心なしと自認する著者だからこそ、公の顔でないナマの猪木が活写できている。
 とくに都知事選出馬騒動の顛末は、ミステリーそこのけのスリリングな謎解き。親友ならではの「内なる猪木」「外なる猪木」の人格分析すらどうでもよくなる迫力だ。
 「PRIDE」など真剣勝負の舞台に現われてはプロレス的ショウへ傾けてしまう毎度の姿に「困ったお人だ」と苦々しく思う私だったが、これを読んだ今は、ここまで書かれて怒らない人だとは、ううむ、アントンファンになってしまいそうじゃないか。

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