三浦俊彦「アドホック日記」(2002年12月21日) - 吉田秀彦圧勝について/など

  
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 ちょっと古い話題について2つ。

 「スパスパ人間学」とかいうテレビ番組に出た。ちょうど1ヶ月前に。例によりサプリメントである。というかドリンク剤についてだったかな。
 『サプリメント戦争』にも書いたとおり、私はテレビ出演の依頼は断わることにしているはずなのに、「なんだ、また出たの?」といわれるであろうことへの釈明を書いておきたい。
 全く需要が多いらしくて、平均して週に一度くらいテレビから電話がかかってくるが、そのさいいつもこう答えている。「私しか語れないことを喋らせてくれるならOKです。単なる健康食品マニアのサンプルとしての出演はお断りしています」……つまり、カップラーメンを食ってくれだの冷蔵庫の中を見せてくれだの1日分の錠剤を皿に載せて見せてくれだのいっためんどくさい取材はお断りということだ。
 そう答えると、「わかりました。相談して改めてご連絡します」と引き下がったまま、同じところからは二度とかかってこない。この繰り返しだった。
 今度の『スパスパ』は、「ハイ、お願いします。語っていただきますので」ということなので、応じたのだった。
 自分では見ていないのだが、わが家のドリンク剤の隊列の映像だけでなくちゃんとおれが喋ってるところが映ったんだろうな。

 もう1つ書いておきたいのは、話は違うが吉田秀彦である。
 「ダイナマイト!」(8/29)「プライド23」(11/23)で、ホイス・グレイシー、ドン・フライに連勝した。
 映像的に、ともに吉田の圧勝と言っていいだろう。ホイス戦は打撃ナシルールだったからまあいかにホイスとはいえバーリトゥーダーが一流柔道家に勝つのは難しいことはわかる(伝説のエリオ・グレイシー対木村政彦も、ビデオで見るかぎり木村の楽勝、4ランクくらいの実力差がある)。しかしドン・フライ戦は、吉田だけ道着を着てのしかもバーリトゥードだから、元アルティメット王フライに対し経験からして吉田不利と見られていたのが、やってみると実力差歴然といった感じ、あっけなく腕ひしぎ十字固めが決まった。
 ただちょっと釈然とせんのだな。
 なにせオリンピック金メダリストだし柔道家として吉田が一流であるのは当然だが、バーリトゥード向け柔道テクニックとして有効である「寝技」に関しては、吉田は一流とはいえない。むしろ投げ技の専門家だったのであり、寝技に関しては吉田を凌ぐ巧者が日本だけでもごまんと居るのである。一時期吉田と同階級代表権を争った中村佳央とか。
 決して寝技がうまくない吉田の締めと関節に、ホイスもフライもあっけなく屈した。ともに超一流バーリトゥーダーのはずなのだが。バーリトゥードとオリンピック競技との間にはそれほどの技術レベルの差があったのだろうか。いや、しかしドン・フライは元レスリング全米代表だか何だかじゃなかったっけ。
 とにかくホイス、フライと吉田とでは見た目実力差がありすぎた。
 釈然とせんな。まさか吉田を売り出すために裏でプロレス的な画策がなされているわけじゃないよね。フライはいったんプロレスの世界に入った男、猪木引退試合でほどよく負けを演じた男であるから、疑念も兆そうというものじゃないかい。
 疑念払拭のためにも、柔道家には大挙してバーリトゥードに挑戦してもらいたい。ボブ・サップのような強靭なフットボールプレイヤーがどんどん参戦して格闘技界に危機をもたらし、ノゲイラですら勝てなくなり、その危機を救うべく柔道家が乗り出して柔術主体の舞台を力ずくで引き継ぐ、てのも乙な構図でしょ?
 そのためにはまず小川直也あたりがちゃんとバーリトゥードをやってくれなくちゃな。吉田秀彦より階級的にも実力的にも明らかに上だった小川が、ちゃんと真面目に格闘技をやってくれないかなあ。あるいはオリンピックでああいう理不尽な目に遭ってクサッている篠原信一でもいいからさ。