三浦俊彦「アドホック日記」(2002年10月17日) - アメリカミズアブ

  
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 前回、ミミズ箱「キャノワーム」の中にアメリカミズアブ幼虫が発生していない不思議について報告してから2ヶ月。
 あれから二度、コンポストの排出をして中身を調べたのだが、二度とも、つまり盛夏・晩夏のあいだじゅう、アメリカミズアブ幼虫のあの姿は1匹も発見されなかった。
 1匹たりともだ。
 不思議である!
 くどいようだが、成虫はぶんぶん飛び回っていて、キャノワームの隙間に卵を産み付け放題やっていたのだ。新鮮な黄色い粒々が蓋の縁や層の隙間にいっぱい。
 にもかかわらず、例年のあの恐るべき大群はおろか、1匹も発生しないとは……。
 原因はやはり、うむ、ミミズを補給しつづけたことしか考えられない。
 補給の仕方はこうだ。コンクリート面の隅っこにダンボールを置いておく。雨のあとめくってみると、乾燥と日光から退避してきたシマミミズがいっぱいたまっている。かき集めて(灰色の大きな普通のミミズもちらほら混じっているので、生ゴミ処理しない彼らは庭に放す)、キャノワームの中へ。
 雨が降るたびにこれ。
 ミミズ飼育者の方々は、お試しになるといいのではないか。そして結果をお知らせいただければと思う。この〈適宜補給法〉はミズアブ防除に一般に有効なのか、私のケースが依然として例外なのか、知りたいのである。
 ひとつ気になっていることもあるのだ。
 キャノワームの中にこの頃、ごく小さな、2~3ミリ程度の黒い丸っこい甲虫が歩いているのが見える。
 そんなにたくさんではない。いつも2,3匹くらいしか目につかない。しかし、いつも確実にいる。
 その甲虫とは断定できないが、ミミズ補給のときに、土化したダンボールからアメリカミズアブ幼虫の天敵となる生物が紛れ込んだのではないか、孵化した端からミズアブ幼虫を平らげてゆく捕食者が住みついたのではないか、それが私の新たな仮説である。
 天敵の第一候補はその小さい黒甲虫なのだが、数の少なさから言ってそんなに活躍していそうにはない。他の見えない何かもいろいろ住みついているのかもしれない。
 いずれにしても、謎は謎のままである。
 これから気温が下がってきてアメリカミズアブの季節は終わってしまうので、謎解きは来春まで持ち越しになりそうだ。