三浦俊彦「アドホック日記 (2002年5月15日)- デマメール大変記」
日記索引
あ~あ。
下のようなメールが送られてきた。
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外部筆者の方がアメリカ発のウイルスに感染。弊社文化部のパソコンも感染しました。
以下のようなメールが来ていますので、同様の警告をお願いします。
大変申し訳ありませんでした。
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今日、知人から連絡があり、彼女のアドレスブックがウィルスに感染したので、私も調べるように言われました。このウィルスは電子メールを送付したかどうかにかかわらず、アドレスブックに登録されているすべてのアドレスに感染するそうです。
ウィルスは jdbgmgr.exe という名前で、14日間静かにしていてシステムを破壊します。ノートンや MCAfee のワクチンソフトでは検出できません。
メッセンジャーを通して自動的にアドレスブックにあるアドレスに送付されます。
私も下記の要領で調べましたところ、感染していましたので、削除しました。
恐れ入りますが、下記の要領でプログラムの存在を発見し、削除し、アドレスブックに記載されている人すべてに警告してください。
1. 画面下のスタートをクリックし、
プログラムやファイルを検索するオプションをクリック。
2. 検索するファイル名として、 jdbgmgr.exe と書く。
3. ドライブCを検索すること。
4. 「検索」をクリック。
5. ウィルスは、jdbgmgr.exeのファイル名の頭にテディベアのアイコンがついている。
ぜったいに開けないように!
6. 右クリックして削除。ゴミ箱に入る。
7. ゴミ箱をクリックして、そこでも削除。
ウィルスが発見された場合は、かならず、アドレスブックに記載されている人すべてに連絡してください。
申し訳ありませんでした。
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とまあ、こういうメール。
いままでも知人友人からウイルスが何とかとか警告めいたメールはいくつか送られてきていたのだけれど、のんびり無視していた。
しかし今回のは具体的にどこをどう調べよとか書いてあるので、やってみると、テディベアがあるではないか! いかにも不吉な形をしたアイコンが!
ビビッて、削除して、アドレス帳のほぼ全員に転送した。
何人かから電話やメールがきた。結構みんな真に受けてビビッたみたいで、削除したみたいだ(どうしても削除できず、どうしようどうしようとうろたえている人もいた)
そしたら、情報を送ってくれた人がいて、どうもデマだというじゃないか。(削除できなかった人は、保護機能が付いていたかららしい)
詳細は、ここで見よと。
http://www.microsoft.com/japan/technet/treeview/default.asp?url=/JAPAN/technet/security/virus/false/jdbgmgr.asp
http://www.nai.com/japan/virusinfo/virHOAX.asp?v=Jdbgmgr.exe%20hoax&a=HOAX
http://www.zdnet.co.jp/broadband/rbb/0205/09/rbb_0509_10.html
まったくもう!
再びあわてて、訂正とお詫びのメールを送り直しましたよ。
しかし jdbgmgr.exeを削除することにより、起動しないものが出る可能性もあるっていうじゃないか。削除しちゃったよ、どうしてくれる! 人々にも迷惑かけてしまったぞ。上のHPには復元方法も書いてあったので、それに従って四苦八苦のすえやっと成功した。
復元できたわい。ふーう……。
小学生のころ、「幸福の手紙」や「不幸の手紙」がはやったことがあった。4年生から6年生くらいのときだったと思う。
あれを律儀に送るやつは、性格はいいが頭が悪いか軽薄かどっちかに属するやつばっかりで、いろんなやつから何度も送られてくるものだから僕らは「おまえらいい加減にしろよ!」とたしなめていた。むろん自分で送ったことは一度もない。親や先生に教えられなくても、下らない迷信であることはわかっていたのだ。(中学のとき流行った「こっくりさん」も私はやっぱり始めからインチキと決め付けて参加しなかったし)
なのに今回はこのザマじゃないか。
転送した相手には友人も恩師も卒業生もゼミの現役学生もいる。教室でえらそうに「科学的批判精神とオカルト……」とかイバってられなくなっちゃったぞ。あ~あ、五里霧中のコンピューター時代にはこのオレも、不幸の手紙小僧どもと同じレベルかよ。
心ある知識人の間ではとうに息絶えたかと思われたオカルトが、今度はウイルスという疑似(ただし実在の)科学デバイスを味方につけて批判精神の防御をかいくぐりつつあるのだ。
カルト宗教などに利用されたらえらいことになるぞ。