質問者: ラッセル卿、地獄とはどのような場所だと思われますか? (How would you describe Hell, Lord Russell?)
ラッセル: 地獄とは、警察官がドイツ人で、運転手がフランス人、そして料理人がイギリス人であるような場所のことですよ。(Hell is a place where the police are German ... the motorists French... and the cooks English.)
出典: Bertrand Russell Society News, no.19 (August 1978). Reprinted in: The Quotable Bertrand Russell, 1993.
<寸言>
このエピソードは、アメリカのラッセル協会のニューズレター(Bertrand Russell Society News, no.19:1978年)に掲載されたものです。
「1958年にアメリカのCBSの番組でのやりとりだったはず」という微かな記憶がありましたが、詳細を確かめるべく Google Gemini に質問したところ、次のような興味深い事実が分かりました。
Google Geminiによる情報: 出典を調べたところ、この発言の元となったのはアメリカのCBSテレビで放送された『スモール・ワールド(Small World)』という番組でのインタビューです。
番組名: 『スモール・ワールド(Small World)』
放送局: CBS(アメリカ)
司会者: エドワード・R・マロー(Edward R. Murrow)
放送時期: 1958年10月
この番組は、当時としては画期的な「各国の著名人を回線で結んで対談させる」という形式でした。ラッセルは司会のマローに対し、この「地獄の定義」をジョークとして披露しました。 このフレーズはあまりに出来が良く、ラッセルのウィットを象徴するものだったため、後にイギリスのBBCや各国のメディアでも繰り返し引用されることになりました。1950年代後半、核兵器廃絶運動(パグウォッシュ会議など)に尽力し、非常にシリアスな活動をしていたラッセルが、その合間にこのような軽妙なユーモアを語ったというのは、彼の人間味を感じさせるエピソードです。
時代を超えて愛される「エスニック・ジョーク」
ちなみに、このジョークには対になる「天国バージョン」も存在します。
「天国では、警官がイギリス人で、料理人がフランス人で、運転手がドイツ人」
これらは現在でも「ヨーロッパ・ジョーク」の古典的な原型として親しまれています。
自国民(英国民)の料理を「地獄」の要素に挙げたラッセルですが、これは単なる自虐ではありません。イギリスの伯爵家に生まれながら、生涯を通じて母国の保守性や伝統を批判し続けた彼なりの、愛ある(あるいは辛辣な)皮肉が込められているのでしょう。
現代において「ラベル貼り(ステレオタイプ)」は非常に慎重に扱うべきテーマです。しかし、ラッセルのように国民性の違いを鮮やかな知性と笑いに変えてしまう心の余裕には、どこか惹かれるものがあります。
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