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ラッセルの英語_日英語表現辞典シリーズ

r_nichieigo_hyogen_c01: cold


 最所フミ(編著)『日英語表現辞典』(ちくま学芸文庫,2004年1月)を参考にした「ラッセルの英語_日英語表現辞典シリーズ」(通称 R日英表現)です。 総索引

★ cold ( out in the cold ) (pp.045-046)

 映画の題名で "The Spy Who Came in from the Cold" というのがあり、「寒い国から帰って来たスパイ」という邦題がついているが、これは誤訳。元来、"the cold" とは "out in the cold" の慣用句からきている。この小説のなかで、主人公の上役が、いたわるような調子でこういうところがある。
 "... one can't be out in the cold all the time, one has to come in from the cold"(いつも現場の危険にばかりさらされているわけにはいかない。たまには現場から離れてしゃばに帰らなければならないものだ。) つまり、(1) "out in the cold"は「安全を保障されていない状態。つまり「ほったらかし」のことで、気候とは関係ない。また、(2) 少しも感心しない、という意味にも使う。

(1) The plan helps the city dwellers but leaves the farmers out in the cold.
(その政策は都市の人々にはいいかも知れないが、農夫にはまったく不利だ。)

(2) His performance in the ballet left me cold(そのバレーにおける彼の演技には少しの感興も覚えなかった。)

 R英単語・熟語集の用例とはできるだけ重複しないようにしますが、用例が少ない場合はどうしても重複してしまいます。あしからず。




A.ラッセルの著作における用例

 ラッセルの用例が見つかりませんが、この小説は面白かったラッセルが語ったとどこかに書かれていたのを記憶していますのであげてみました。
 米ソ冷戦時代の1963年に出されたスパイ小説なので、「寒い国から(ロシアから)帰ってきたスパイ」と訳してしまいがちなのもうなづけます。日本では翌年の1964年に邦訳が早川書房より出されています。

 なお、数学者の足立恒雄氏の Twitter のつぶやきにつぎのようなものがありました。(2017年10月25日)
「『ローマの休日』の原題は "Roman Holiday" で「他人を犠牲にして楽しむ休日」という意味。『寒い国から帰って来たスパイ』の原題は "The spy who came in from the cold" で「引退から原職復帰したスパイ」という意味。いずれもわかっていて訳したのだろうから誤訳とは言えないが、翻訳は難しい。」

B.他の参考例

<参考例1>
He was left out in the cold at school because he didn't like sports.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

<参考例2>
Developing countries might be left out in the cold in current world trade talks.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new ed.