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バートランド・ラッセル「新しい躾かた」

* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典



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 人々は、脅したり、強制したりして躾けるという古い観念から誤った見方をしがちである。
 モンテッソーリ女史は、古い観念を否定しているが、に依然として重要な地位を与え、を止める試みは全くない。
 旧式の躾教育学の技術を欠いていた。例えば、読む・書くという学習内容をいくつかの段階に分けることで、その各段階を普通の子供に楽しく学ばせることができる。容易に理解される単純な規則を子供は当然と思い、守るのに苦労しない。自ら規律を学びとる。衝動を自分で抑えて何かと換える方が良い事を悟る。それは良い習慣作りに役立つ。この自己規律は遊戯の中で学ぶのが容易である。私の三歳の子に適用して、実証できた。これは幼児だけでなく、何歳の子にも適用される。
... On sending my little boy of three to spend his mornings in a Montessori school, I found that he quickly became a more disciplined human being, and that he cheerfully acquiesced in the rules of the school. But he had no feeling whatever of external compulsion: the rules were like the rules of a game, and were obeyed as a means of enjoyment.

 この教育学上の発見には天才が必要であるが、これを適用する教師には天才はいらない。正しい訓練と同情と忍耐と工夫だけでよい。
 要するに、正しい躾とは外部からの強制によるのではなく、望ましい活動を自発的に導き出す心の習慣から生れるものだ、ということにつきる。驚くべきことは、この女史の発想が教育技術上すばらしく成功したことである。
The pedagogical discoveries involved have required genius, but the teachers who are to apply them do not require genius. They require only the right sort of training, together with a degree of sympathy and patience which is by no means unusual. The fundamental idea is simple: that the right discipline consists, not in external compulsion, but in habits of mind which lead spontaneously to desirable rather than undesirable activities.  ...

 Source:On Educatio, 1926, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner/new_discipline_situke.htm