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バートランド・ラッセル「活力」

* 原著: New Hopes for a Changing World, 1951, chap.13
* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典』所収



活力(Vitality)は,精神的特質というよりもむしろ生理的な特質である。全く健康な場合には,恐らく活力は常に存在していると思われる。しかし,年をとるにつれて衰退する傾向にあり,老年になるとしだいに衰えてなくなっていく。・・・。'活力'は喜びを高め,苦痛を減少させる。活力は,どんな出来事にも興味を持つことを容易にし,しかも,興味を持つことによって,精神の健全さのために不可欠であるところの客観性を促進する。そして,人間は,(しだい)自分のことに注意を奪われ,見たり聞いたりすることや自分に直接関係のないものに興味を抱くことができなくなる。
(挿絵:From Russell's The Good Citizen's Alphabet,1954)

Vitality is rather a physiological than a mental characteristic. it is presumably always present where there is perfect health, but it tends to ebb with advancing years, and gradually dwindles to nothing in old age. .. It heightens pleasures and diminishes pains. It makes it easy to take an interest in whatever occurs, and thus promotes objectivity, which is an essential of sanity. Human beings are prone to become absorbed in themselves, unable to be interested in what they see and hear or in anything outside their own skins.
Source: On Education, 1926, chapter 2.

ラッセル英単語・熟語1500
 More info.: https://russell-j.com/beginner/VITALITY.HTM


<寸言>
 健康な幼児はヴァイタリティにあふれていますが、老人はそこそこ健康であってもヴァイタリティはどうしても衰えていきます。ヴァイタリティを精神的特質と(誤って)主張する老人に対しては、「空元気」とか、「年寄りの冷や水 」とか、揶揄されたり、からかわれたりします。
 ラッセルは常識的なこと(当たり前のこと)を言っているだけですが、年齢による衰えを自覚しないで、虚勢をはったり、権力を行使する政治家の老害は見苦しいだけでなく、迷惑です。某衆議院議長とか、****とか?