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バートランド・ラッセル 権力 第14章
言論の自由の原則の問題(松下 訳)

Power, 1938, by Bertrand Russell

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第14章 競争, n.9


ラッセル英単語・熟語1500
 自由主義者の学説(doctrine 理論)は,たとえばジョン・スチュアート・ミルの『自由論』に述べられている学説は,(今日)しばしば想像されているよりも(想像されているほど)極端なものではなかった。(その学説によれば)人は,自らの行為によって他人に影響を与えない限り自由であるべきである。しかし,他人が関係する場合(他人を巻き込む場合)には,たとえその行為が自己にとって好都合なものであったとしても,国家の行為によって,人間の自由制限されるかも知れない(制限される可能性がある)(注:if expedient = even if expedient / みすず書房版の東宮訳では「もしそのほうが時宜にかなっているということならば」と訳出されている。 "if" を "even if" と解釈すべき場合については、次のページを参照。「第6話 if について」。ある人が,たとえば,ヴィクトリア女王暗殺されるべきだと良心的に確信してきたかも知れない。しかし,(人間の自由を最大限認める)ミルもこの人がこの意見を宣伝する自由を認めなかったであろう。これは極端な場合(事例)である。しかし,実際上,唱道する価値あるいは戦う価値のあるほとんど全ての意見は,誰かに不利に作用することは確実である。言論の自由の権利は,若干の個人あるいは階級に不快な結果を及ぼす事柄を口にする権利がそれに含まれていなければ,役に立たない。従って,宜伝の自由のための何らかの余地があるべきだとすれば,言論の自由を正当化するためには,言論の自由にはミルの原則よりももっと強力な原則が必要となるであろう。

 我々は,この言論の自由の原則の問題を,政府の観点(立場)から,一般市民の観点(立場)から,熱烈な革新者の観点(立場),あるいは哲学者の観点(立場)から見ることができる。まず政府の観点(立場)から見てみよう。

Chapter 14: Competition, n.9

The doctrine of Liberals, for example of John Stuart Mill in his book On Liberty, was far less extreme than is often supposed. Men were to be free in so far as their actions did not influence others, but when others were involved they might, if expedient, be restrained by the action of the State. A man might, say, have been conscientiously convinced that Queen Victoria ought to be assassinated, but Mill would not have allowed him freedom to propagate this opinion. This is an extreme case, but in fact almost any opinion worth either advocating or combating is sure to affect some one adversely. The right of free speech is nugatory unless it includes the right to say things that may have unpleasant consequences to certain individuals or classes. If, therefore, there is to be any scope for freedom in propaganda, it will need for its justification some stronger principle than Mill's.

We may look at this question from the point of view of the government, from that of the average citizen, from that of the ardent innovator, or from that of the philosopher. Let us begin with the point of view of the government.
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(掲載日:2018.02.07 /更新日: )