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バートランド・ラッセル 権力 (松下彰良 訳)- Power, 1938, by Bertrand Russell

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第11章 組織体の生物学 n.7 - 権力の均衡


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 今 (just) 述べてきたことは抽象的すぎて,(部分的)修正なしでは真実とは言えない。小国は,自力によってではなく,大国の嫉妬によって、存在する。たとえば,(小国の)ベルギーが存在するのは,イギリスとフランスにとって(ベルギーの存在が)好都合だからである(注:両国にとって緩衝地帯となる)。ポルトガル広大な植民地をもっているのは,大国同志がそれらの植民地の分割方法について意見の一致を見ないからである。戦争は重大な事柄なので,もし任意の強国がある国の領土をとってしまおうと思えば失ってしまう領土でも,国家は,かなりの期間、領土を保持できることがある。しかしそういった考慮(事項)も,けっして我々の一般原理をくつがえすものではない。(即ち)そういった考慮は,露骨な権力の作用に猶予を与える摩擦力を取り入れているだけなのである。(注:猶予を与えているだけで、権力の実際の姿は変わらない。/ちなみに,they only introduce frictional forces ... のところを、東宮氏は「つまり,★強国★は,露骨な権力の作用に猶予を与える摩擦力を用いているに過ぎないのである」と訳出している。想像力を働かせ過ぎではないか?)
 

Chapter XI: The Biology of Organizations, n.7

What has just been said is too abstract to be true without modification. Small States exist, not by their own power, but through the jealousies of large ones; Belgium, e.g., exists because its existence is convenient for England and France. Portugal has large colonies, because the Great Powers cannot agree about how to divide them. Since war is a serious business, a State may, for a considerable time, retain territory which it would lose if any strong State chose to take it. But such considerations do not destroy our general principle; they only introduce frictional forces which delay the operation of crude power.
(掲載日:2017.11.07 /更新日: )