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バートランド・ラッセル結婚論 第2章 (松下 訳) - Marriage and Morals, 1929, by Bertrand Russell

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第二章 母系社会 n.1

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 (社会的制度としての)結婚の慣習は、常に、3つの要因の混ざったものであり、それらは、それぞれ、大ざっばに、本能的、経済的、宗教的と呼ぶことができるであろう。私は、これらは - 結婚以外の分野(領域)でも同様であるが- 明確に区別することができると言おうとしているのではない。日曜日には閉店する(商売しない)という事実には宗教的な起源があるが、現在では、それは(宗教的な意味合いは消え)経済的な事実である。性に関する多くの法律や慣習についても、同様である(同じことが言える)。宗教的な起源を持つ有用な慣習は、有用であるがゆえに、宗教的な基盤が崩れ去ったあとも存続する(生き残る)ことが多い。
 宗教的な(起源を持つ)ものと、本能的な(起源を持つ)ものとの区別もまた、なかなかつけにくい。人間の行為に対し非常に強い影響力(支配力)を有する宗教には、通例、本能的な基盤が存在している。けれども、宗教は、(その宗教における)伝統の重要性,及び,本能的に可能な行為がいろいろある場合における特定の種類の行為への優先権の付与(のあり方に)よって,特徴づけられる。たとえば、恋愛と嫉妬(心)は、ともに本能的な感情であるけれども、宗教の定めるところでは、嫉妬(心)は、社会が支持すべき道徳的な感情であるのに対して、恋愛(注:"love" は愛情一般ではなく,恋愛感情)は、せいぜい許せる程度のものとされてきた(されてきている)。

Chapter II Matrilineal Societies

Marriage customs have always been a blend of three factors, which may be loosely called instinctive, economic, and religious respectively. I do not mean that these can be sharply distinguished, any more than they can in other spheres. The fact that shops are closed on Sundays has a religious origin, but is now an economic fact, and so it is with many laws and customs in relation to sex. A useful custom which has a religious origin will often survive on account of its utility after the religious basis has been undermined. The distinction between what is religious and what is instinctive is also a difficult one to make. Religions which have any very strong hold over men's actions have generally some instinctive basis. They are distinguished, however, by the importance of tradition, and by the fact that, among the various kinds of actions which are instinctively possible, they give a preference to certain kinds ; for example, love and jealousy are both instinctive emotions, but religion has decreed that jealousy is a virtuous emotion to which the community ought to lend support, while love is at best excusable.



(掲載日:2016.06.01/更新日: )