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ラッセル関係書籍の検索 ラッセルと20世紀の名文に学ぶ-英文味読の真相39 [佐藤ヒロシ]

「ホワイトヘッドとウィトゲンシュタインとの出会い」

* 出典:『拝啓バートランド・ラッセル様』

目次



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「ホワイトヘッド(Alfred North Whitehead, 1861-1947がウィトゲンシュタインを読んだことがあるかどうか、先生はご存知でしょうか?・・・。」

ラッセルからの返事(1959年10月12日付)

 拝啓、レヴィンソン様
   ・・・。私の知るかぎり、ホワイトヘッドはウィトゲンシュタインをまったく読んでいません。しかし、ホワイトヘッドは、ウィトゲンシュタインの特微を非常によくあらわしているウィトゲンシュタインとの出会いについて、私に語ってくれたことがあります。それは、あなたの興味を引くかもしれません。
 (ある日)ホワイトヘッド夫妻は、私の提案を受け入れ、ウィトゲンシュタインをお茶に招待しました。ウィトゲンシュタインはやってきて、いつもの習慣で、彼は、部屋の中を黙っていったりきたりしました。そして、ついに彼はこう断言しました。「1つの命題は2つの'極'(poles)をもつ。それはaとbであり、pという関係を持つ。当然のことながらホワイトヘッドは彼に尋ねました。「aとbというのは何と何のことですか」。ウィトゲンシュタインはやや厳粛な面持ちで答えました。「それは定義できません。」
 1963年1月26日  バートランド・ラッセル
 (★参考:『自叙伝』の関連記述

'... Finally, he declared, 'A propositon has two poles; they are apb.' Naturally enough, Whitehead enquired, 'What are a and b?' 'They,' replied Wittgenstein with some solemnity, 'are indefinable.' ...'
(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)