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バートランド・ラッセル「子供と友達」

* 原著:On Education, especially in early childhool, pt.2, chap. 10, 1926
* 出典: 『ラッセル思想辞典』所収

 長男より次男の方が発話も歩行も早い。三歳児は一歳児によい手本を示す。三歳児の示す動作は二歳児がやって見たくなるもので、大人の動作よりまねやすい。
 子供の野心は他の子によって刺激される。家庭こそ、子供が年上の兄や姉から教育の機会を与えられる場所である。小家族(核家族等)では、保育園か幼稚園でよい手本が補充されない限り、色々の点で子供に不利である。
 子供は大人ではありえないような服従関係を、兄や姉に対してもつ。子供には、どんな事でもその場で具体的に示すべきで、抽象的な道徳的な説教は愚かで、時間の浪費である。
 四歳以上になると、同年の子供同士の遊びは、年上との交際に劣らず学ぶ所が多い。長じてからの好ましい社会的習慣である、自由な競争、平等な協力、暴君意識なしの自尊心、奴隷根性でない他人への配慮、自発的活動の自由等は、この同年齢の友との遊びから生れるのである。


(松下注:写真は、Beacon Hill School にて)