バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 当面ほとんど実行されそうもないある種の改革を唱えることで現在生計を立てている知的かつ高潔な無数の男女が,万一魔法使いの一撃で彼らの唱道する種々の施策が達成された際には,一体どういう境遇になるかを考えると身震いする。失業者数は危険なまでに増えるだろう。団体の幹事(注:'常務理事'など)のモットーは,「希望を持って旅することは,目的地に到着することよりも良いことである」とすべきである。なぜなら,'到着'は破滅を意味するからである。

I shudder to think what would become of immense numbers of intelligent and high-minded men and women who at present earn their livelihood by advocating some reform which is very unlikely to be carried, if, by some magician's stroke, all their various measures were to be achieved. The ranks of the unemployed would be swelled most dangerously. The motto of the secretary of a society should be 'To travel hopefully is a better thing than to arrive', for arrival spells ruin.
 出典:On societies (written in June 8, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:http://russell-j.com/SOCIETY.HTM

 <寸言>
 世の中にはなくてもよいと思われる団体や組織がかなりあり,理事などの役員をつとめている人たちも非常にたくさんいます。しかし,その団体の目的を達成してしまえば,その団体の存立理由がなくなり,役職者は失職してしまいます。したがって,そのようなことはもちろんやりません。
 なお,ラッセルが書いている皮肉や冗談を字句通りに受け取る人が時々います。このエッセイについてはそのように受け取る人はいないだろうとは思いますが・・・

 いろいろな団体や法人を整理統合すると,統合前の団体よりも規模が大きくなったり(役員ポストが増えたり),規模を縮小できたとしても,(やるべき仕事ができなくなったとかいった理由で)別の新たな団体ができたりします。省庁の外郭団体でも同じことがこれまで起こってきました。独立行政法人を減らしたら,特殊法人や外郭団体が増えたり,国の関係機関を減らすかわりに,民間に研究所(例:**平和研究所とか,**総合研究機構とか)をつくらせたりして,天下りの人間の給料に相当する部分を補助金とした交付したりしています。各省庁や外郭団体の人事担当者はそういった受け皿をどうやってうまくつくるかが見せ所で,たくさん天下り先をつくる人間は評価され,その人自身もある年齢に達すればめでたくそういった天下り先に「降臨」していくことになります。めでたしめでたし,ですか?