バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 今日では,民主主義の影響をうけて,協力の美徳が過去において服従の美徳が占めた位置に取って代わった。昔流儀の男性教師ならば,生徒の人柄を評してあなたは素直でないと言うところを,現代(=1930年代)の女性教師なら,幼い生徒に対し,あなたは非協力的だと言うだろう。要するに両者は同じことを意味している。どちらも生徒が先生の期待に添わなかったわけであり,前者の場合は先生は統治者として振る舞い,後者の場合は,教師は人民即ち他の生徒達の代表として振る舞う。

In these days, under the influence of democracy, the virtue of co-operation has taken the place formerly held by obedience. The old-fashioned schoolmaster would say of a boy that he was disobedient; the modern schoolmistress says of an infant that he is non-co-operative. It means the same thing: the child, in either case, fails to do what the teacher wishes, but in the first case the teacher acts as the government and in the second as the representative of the People, i.e. of the other children.
 出典: Of co-operation (written in May 18, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.)]
 詳細情報:http://russell-j.com/KYORYOKU.HTM

 <寸言>
 中学校頃までは,多くの子供は同年代の仲間と同じでないと不安を覚えます。しかし,(なかには大人になってもいつも流行を追うひとはいますが,)通常は,次第に成長するにつれ,他人と一緒であることがいやになっていきます。とは言っても,その個性の主張も,茶髪やピアスや人目をひく服装といったような外見的なものが大部分であり,自分なりの世界観を形成していく努力を日本人は余りしてこなかったように思われます。  社会や組織が複雑になればなるほど '社会的協力' は重要なものとなっていきますが,その中で個人が創造性を発揮できるような社会をつくっていくことは,現代社会の大きな課題だと思われます。