バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 あらゆる種類の知的体系 −キリスト教(注:宗教),社会主義,愛国主義など− は,孤児院のように,服従のお返しに安心感を与えようと待ち構えている。自由な精神生活は,何らかの信条(教義)に包まれた生活のように,暖かく,快適で,愛想のよいものではない。外で冬の嵐が吹きすさんでいる間は,信条のみが,ヌクヌクとした炉端にいる感情を与えてくれる。

All sorts of intellectual systems - Christianity, Socialism, Patriotism, etc - are ready, like orphan asylums, to give safety in return for servitude. A free mental life cannot be as warm and comfortable and sociable as a life enveloped in a creed: only a creed can give the feeling of a cosy fireside while the winter storms are raging without.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE02-210.HTM

 <寸言>
 政治の世界においても,宗教の世界においても、経済の世界においても、服従をする者は「安心感」を得ることができる。自分の頭で考えることをやめ,上位の者(特に、各組織における権力者)に従ってさえいれば,それほどひどいことにはならないだろういう,人生に対する「守りの」姿勢。  純真な子供の時には考えられないような態度を,社会的圧力に負けて「連戦連敗」を重ねることのよって身に着けていく。

   権力を持っている私(あるいは私たち)に従順であれば、安定した暮らしをできるだけ保障しよう、しかし、反抗的な態度をとるようなら、支援しないので、勝手に苦しみなさい・・・
 そうして、権力者の「真意」に気づき、一度権力に従順になると、後はずるずると頼るようになる。

 「精神の自由」を犠牲にして安定を求める人々が少なくない。間違った信条でも、信じている限り(あるいは、信じているふりをしている限り)一時的な安心感を得ることができる。