バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 自己分裂している人間は,興奮と気晴らしを追い求める。彼は,強い情熱を好むが,それには十分な理由があるわけではなく,しばらくの間,その情熱が我を忘れさせ,骨の折れる思考の必要性から遠ざけてくれるからである。・・・。いかなる種類のものであれ,陶酔を必要とするような幸福は,見せかけのものであり,不満足なものである。本当に満足できる幸福は,私たちの様々な能力を最大限に発揮させてくれるものであり,私たちの生きている世界を最大限に理解させてくれるものである。

The man divided against himself looks for excitement and distraction; he loves strong passions, not for sound reasons, but because for the moment they take him outside himself and prevent the painful necessity of thought. ... The happiness that requires intoxication of no matter what sort is a spurious and unsatisfying kind. The happiness that is genuinely satisfying is accompanied by the fullest exercise of our faculties, and the fullest realisation of the world in which we live.
 出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap.7: the sense of sin
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA17-100.HTM

 <寸言>
 サッカーを始めとするスポーツに対する過度な熱狂
 常に'興奮'と'気晴らし'を追い求める心性,大きな天災・人災さえも・・・
 マスコミはそういった人間の気持ちや欠点を利用する
 9.11,仮想の敵やスケープ・ゴードをやっつけろのスローガン,右も左も真ん中も。
 ラッセルは,陶酔している時は本当の幸福な状態ではないといっているのではなく,幸福のためには陶酔が必須であるとういような状態は,幸福であるとは言えない,と指摘している。
 権力者に従順であれば困らないようにしてあげると言われても,言いたいことが言えなくなったり,やりたいことに制限がいろいろ設けられたりするようなら,得るものよりも失うもののほうがずっと多い。
 現在日本の多くの国民は,経済発展が第一と言っているが,そちらに気をとられているうちに,経済格差がますますひどくなったり,特定秘密保護法を通ってしまったり,憲法解釈を統治者・権力者の都合のよいように変える動きがあったりしても,それほど悪いようにはするはずがないと甘く考えているようでは気がついた時にはもう遅いということにもなりかねない。オーウェルの「新世界1984」や「動物農場」が実現した後では,とりかえしがつかない。