バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 我々が,科学的推理の要請(基本仮定)を「知っている」かどうかを問うことは,見かけほど確定的な問題ではない。その答は,ある意味では我々は知っており,ある意味では知らない,といったものに違いない。しかし,「知らない」というのが正しい答とするならば,その意味においては,我々は,何であれ何も知らないのであり,この意味では「知識」は幻覚である。哲学者たちが困惑するのは,かなりの程度まで,彼らが幸福な夢から覚めたがらないためである。

To ask, therefore, whether we “know” the postulates of scientific inference, is not so definite a question as it seems. The answer must be: in one sense, yes, in another sense, no; but in the sense in which “no” is the right answer we know nothing whatever, and “knowledge” in this sense is a delusive vision. The perplexities of philosophers are due, in a large measure, to their unwillingness to awaken from this blissful dream.
 出典:Human Knowledge, its scope and limits, 1948, introduction.
 詳細情報:http://russell-j.com/cool/39T-0102.HTM

 <寸言>
不毛な懐疑主義はいけないが,人間の知性の限界や間違い易さを軽視した「確信過剰(cocksureness)」もよくない。科学や科学技術は,着実な成果をあげ,一歩一歩進んでいくことができるというメリットがある。しかし,科学が前提としているもの(基本仮定)には不確かなところがあるということは,はっきり理解しておく必要がある。その自覚さえあれば、科学は大きな間違いを起こすことはないであろうが、そうでない場合は、とても大きな間違いを起こすことがありうるであろう。