バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 情熱のみが情熱を統御できるのであり,逆方向の衝動あるいは欲望のみが,衝動を抑制しうるのである。伝統的なモラリストたちが説いた形での理性は,良い生活をつくり出すにはあまりに消極的であり,またあまりにも生気を欠いている。戦争を阻止しうるのは,理性のみによるものではなく,戦争に導く衝動や情熱に反発するところの,積極的な衝動と情熱のある生活によってである。変える必要があるのは,意識的な思考の生活だけでなく,衝動の生活である。

Only passion can control passion, and only a contrary impulse or desire can check impulse. Reason, as it is preached by traditional moralists, is too of negative, too little living, to make a good life. It is not by reason alone that wars can be prevented, but by a positive life of impulses and passions antagonistic to those that lead to war. It is the life of impulse that needs to be changed, not only the life of conscious thought.
 出典:Principles fo Social Reconstrucition, 1916, chapt.1: the principles of growth
 詳細情報:http://russell-j.com/cool/10T-0101.HTM

 <寸言>
 理性は情熱の奴隷である。そうであるからこそ,邪な情熱を持つことは周囲に大きな被害をもたらすし,善い情熱は周囲に大いなる恩恵をもたらす。

 戦争を防止するのに一番力になるのは,仮想敵国に対する,抑止力になるような大規模な「武力」ではないだろう。ラッセルが指摘するように,戦争をしてはいけないという強い感情・情熱と,紛争にならないようにするための外交的努力が必要である。たとえ相手国が嫌いであっても,いや嫌いであるからこそ、そういった「努力」が必要となる。好きであれば「努力」とは感じられない。
 外交努力よりも前に,相手が怒ることを承知の行動をとり,仮想敵国の恐ろしさを印象づけるやり方は、資本主義国でも社会主義国や共産主義国でも、体制の違いなく,好んで採用される。日本やアメリカは「自由主義国」だから民主的だとは限らない。
 某首相は、国防予算はあまり増やさないと言いながら,兵器に関する三原則を「緩和」し,武器を海外にどんどん売って,景気刺激策に利用しようとしている。多くの国民もそれを知っていながら知らないふりをしているのか・・・?