バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 戦争,虐殺,迫害は,すべて退屈からの逃避の一部(逃避から生まれたもの)であり,隣人とのけんかさえ,何もないよりはましだと感じられてきた。それゆえ退屈は,人類の罪の少なくとも半分は退屈を恐れることに起因していることから,モラリスト(道徳家)にとってきわめて重要な問題である

Wars, pogroms, and persecutions have all been part of the flight from boredom; even quarrels with neighbours have been found better than nothing. Boredom is therefore a vital problem for the moralist, since at least half the sins of mankind are caused by the fear of it.
 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 4: boredom and excitement.  詳細情報: http://russell-j.com/beginner/HA14-030.HTM

 <寸言>
 自分や自分の家族や自分の親しい人に関係ないことであれば、他人や他国のことはどのようなひどいことでも,いやショッキングなことであればあるほど,興味・感心を持って,あるいは面白がって,眺める人間性の闇。  マスコミ関係者においては,大事件は起こらないよりも起こったほうがよいと内心思っている人が少なくない。政治家もどのような国難が起こっても、自分がスポットライトをあびることができるのであれば生き生きとしてくる。  ラッセルが言うように,「戦争,虐殺,迫害は,すべて退屈からの逃避の一部」というのが真実なのであろう。そうでなければ,日本で言えば信長や秀吉のように残忍な行為(信長による比叡山焼き討ち;秀吉による豊臣秀次一族39人及び関係者全員の公開処刑)をした人物が一番人気になるようなことはないであろう。また,そうでなければ,600万もの人間を強制収容所で惨殺したヒトラーを持ち出して「ヒトラーのやり方を学べばよい」などと、たとえ冗談であっても、言う気にはなれないであろう。