国家機密保護法(1911年制定)違反-軍事基地の飛行場に入るとそうなる

abe-nuclear-fascism (1961年)12月9日のデモの直接の余波は,百人委員会の5人の幹部1911年(制定の)国家機密保護法に違反するものとして告訴されたことであった。一般人(法律の専門家以外)の見地からすれば,遣り方のおかしな裁判であった。検察側は,航空機を移動したり離陸したりすることを不可能にさせる意図をもって権限のない者(注:つまり「関係者以外」)がウェザースフィールド飛行場に立ち入ることは国家の安全を害するかどうかに関する問題に依拠して,陳述(意見)を十分に述べることが許された。弁護側の陳述は,ウェザースフィールドのような基地は,英国のいわゆる核(兵器)による’防衛’に従事しているあらゆる基地と同様,その存在自体が英国の安全を害するものである,という点にあった。ウェザースフィールドが一役かっている現在の(英国の)核政策の危険性について証言をするために米国からやってきていた物理学者(自然科学者)のライナス・ポーリング教授(Linus Carl Pauling, 1901-1994.08.19:アメリカ合衆国の量子化学者,生化学者。1954年にノーベル化学賞,1962年にノーベル平和賞を受賞)とレーダーの発明者ロバート・ワトソン= ワット卿(Sir Robert A. Watson=Watt, 1892-1973)と私(=ラッセル)は,長時間’宙ぶらりん’の状態にされていた。そうして,私たちの証言の全てが,他の弁護側証人の証言と同様 --弁護側証人のうちの何人かは証人として呼び出されることを認められなかったと私は確信しているが--,告訴に関係のないものと宣告され,除外された裁判は,まったく合法的に行われた。しかし,あらゆる’逃げ道’が弁護側に対しては不利になるよう無慈悲にも閉じられ,検察側に有利になるようにされた。

The immediate aftermath of the demonstration of December 9th was the charging of five leaders of the Committee under the Official Secrets Act of 1911. It was, from a layman’s point of view, a curiously conducted trial. The prosecution was allowed to present its case in full, resting on the question as to whether it was prejudicial to the safety of the nation for unauthorised people to enter the Wethersfield air field with the intention of immobilising and grounding the aircraft there. The defence’s case was that such stations as Wethersfield, like all the stations engaged in nuclear ‘defence’ of the country, were in themsleves prejudicial to the safety of the country. Professor Linus Pauling, the physicist, and Sir Robert Watson-Watt, the inventor of radar, who had come from the United States to give evidence as to the dangers of the present nuclear policy of which Wethersfield was a part, and I were kept hanging about for many hours. Then all our testimony, like that of other defence witnesses, of whom some, I believe, were not permitted to be called at all, was declared irrelevant to the charges and ruled out. It was managed quite legally, but all loopholes were ruthlessly blocked against the defence and made feasible for the prosecution.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969 ,chap3:Trafalgar Square,(1969)
詳細情報;https://russell-j.com/beginner/AB33-300.HTM

[寸言]
tokuteihimitu_definition 軍事に関わることはほとんど「特定秘密」や「機密事項」(少なくとも「取り扱い厳重注意」)にすることができる。だから、不都合なこと(例:ISなどの敵をやっつける際に、住民を誤爆;自分たちが行ったスパイ行為;武器を売るために外国の要人にリベート支払い;その他)は,いろいろ理由をこじつけて隠すことができる。
米国の場合は、定められた年限が経過すれば公文書全面公開されるが、日本の場合は、公開されなかったり、公開されても黒塗りが多かったり、最悪の場合は黙って処分されてしまったり(誰が処分したのか記録がなかったり)、とてもいいかげんな取り扱い(公文書管理)がされている。
だから、(故)佐藤栄作首相などのように、嘘のつき放題となる(嘘が明らかにされるときには既にこの世におらず/ノーベル「平和賞」さえも受賞)
今の政権で言えば、株価が16,000円以下になりそうになったら、GPIF(公的年金)資金をちゅうちょせずにぶち込んだり、選挙前に株価をつりあげるために年金資金による株の売り買いを頻繁に行ったりしても、(どの株を買っているかを公表することは株価に影響を与えるので、たとえ時間が経過した後であったとしても公表できない,とかなんとか理屈をつけて)「秘密事項」にしておける。

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